
茨城大学 グローバルエンゲージメントセンター /地域未来共創学環 准教授
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地域と大学が共に創る夏─ 国際共修と地域連携による教育実践
みなさん、こんにちは。茨城大学で教員をしている瀬尾匡輝です。今回は、私がこの夏に学生とともに地域の祭りに参加した経験を通して感じたことを書きたいと思います。
私は普段、留学生に対する日本語教育や、日本人学生と留学生が一緒に学ぶ国際共修の授業を担当しています。教室での学びも大切ですが、学生たちが地域に出て、人と出会い、文化に触れることで得られるものは、教科書には載っていません。そんな思いから、今年の夏、地域の祭りに学生と一緒に参加しました。
国際共修科目での地域参加─ 笠原神社御田植祭・圷渡里夏祭り

2025年7月12日、私の国際共修科目を履修する留学生10名と日本人学生4名が、大学のすぐ裏手にある笠原神社で開催された御田植祭と圷渡里夏祭りに参加しました。
学生たちは地域の方々と神輿を担ぎ、午後には授業のプロジェクト活動の一環として子ども向けアクティビティ(スイカ割り、型抜き、缶倒し、ピンポンゲーム)を企画・運営しました。
笠原神社は大学のすぐ近くにあるにもかかわらず、多くの学生にとって「初めて訪れる場所」。物理的には隣り合っていても、心理的な壁は意外と高い。普段の学生生活はキャンパス内で完結しがちで、地域の文化や人々と触れ合う機会は限られています。参加した学生の一人は、「こんなに近くに神社があるなんて知らなかった。地域の方と一緒に神輿を担ぐのは新鮮で、すごく楽しかった」と話していました。別の学生は、「地域の子どもたちとゲームを楽しむなかで、言葉が通じなくても笑顔でつながれることを実感した」とふりかえります。
こうした体験は、単なるイベント参加にとどまりません。学生たちは、地域に暮らす人々の営みや文化を肌で感じ、大学が地域社会の一部であることを実感しました。これは、教室で学ぶ知識を現実の社会に結びつける貴重な機会であり、地域理解や多文化共生の基盤を育む教育的な意味を持っています。大学と地域の距離を縮めるこうした交流は、学生にとって「学びの場」を広げる大事な第一歩となったのです。

地域イベントへの参画─ だいわたり盆踊りまつり
2025年8月17日、台渡里八幡神社で開催された「だいわたり盆踊りまつり」には、日本人学生5名と留学生5名が運営ボランティアとして参加しました。学生たちは、まず地域の方々と一緒に盆踊りの練習に加わり、「だって茨城だっぺ」「黄門ばやし」など、茨城ならではの踊りを楽しみました。初めて踊った留学生は、「最初は難しかったけれど、地域の方が丁寧に教えてくれて、輪の中に入った瞬間、距離が一気に縮まった」と笑顔で話していました。
さらに、子どもコーナーの運営や子ども神輿のサポートも担当。スーパーボールすくいや輪投げを楽しむ子どもたちに声をかけながら、学生たちは自然に地域の子どもたちと打ち解けていきました。「言葉がうまく通じなくても、笑顔で遊べば気持ちは伝わる」と話す留学生の姿が印象的でした。
祭りのクライマックスでは、学生たちも盆踊りの輪に加わり、地域住民と肩を並べて踊りました。世代や国籍を超えて一つの輪をつくる光景は、まさに多文化共生の象徴。私はその場で、「教室では決して教えられない学びが、ここにある」と強く感じました。

境界線を越える教育─ 大学の役割
最近の社会では、経済や政治の不安から「自分たちの文化や暮らしを守りたい」という気持ちが強まり、外から来た人に対して距離を置く傾向が見られます。でも、今回の祭りで留学生と地域の人が笑顔で踊り、子どもたちと遊ぶ姿を見ると、その「境界線」は本当はいらないものだと感じます。学生たちは、地域の人と一緒に神輿を担ぎ、盆踊りの輪に入り、言葉や文化の違いを越えて「一緒に楽しむ」経験をしました。こうした場は、ただのお祭りではなく、互いを理解し、仲間として受け入れるきっかけになります。
地域の祭りは、文化を体験する場であると同時に、大学と地域が未来をともに描く場でもあります。私は、こうした草の根の交流を通じて、教育の可能性を広げていきたいと考えています。大学は「知を地域に届ける」だけでなく、「地域とともに知をつくる」場であるべきです。こうした取り組みを積み重ねることで、大学と地域がともに成長し、より豊かな社会を築いていくことができるのではないかと考えています。大学と地域が肩を並べて歩む、その挑戦はこれからも続きます。


















