創刊のご挨拶
私が日本にやってきて17年、水戸市で生活をはじめて13年が経とうとしています。
その間に世界情勢は大きく変貌し、日本と中国との関係も変わってきました。
インターネットの普及およびICT(情報通信技術)の飛躍的な進歩により、日本も中国もグローバル化が急速に進みました。
茨城県にはかつての私のような留学生が1,813人暮らし、在茨城の中国人全体では12,922人(全国11位)にものぼります。
(※出典:茨城地域留学生交流推進協議会「外国人留学生在籍状況等調査」、出入国在留管理庁「在留外国人統計」/令和2年6月末現在)
そして皆様もご存じの通り、茨城県は留学や観光、ビジネスなど様々な分野で中国と友好的かつ密接な関係を築いています。
私も茨城県で起業以来、日中両国での経験をもとに双方の視点で様々な課題や解決策を調べ、考え、提案することで、
日本企業の新しいチャレンジをお手伝いさせていただきました。
ただ、現在は状況が一変しています。
新型コロナウイルス感染症の感染拡大の影響で、「直接交流」「対面事業」は実施が困難となりました。
従来のビジネスのあり方や常識を変えざるを得ない現実に、全ての人間が直面しています。
しかしもうすぐ間近に迫ったアフターコロナの活動を見据えて、自治体も企業もインバウンド事業の成功を期した準備をはじめています。
そしてコロナ禍において尚一層整備が進んだIT化・DX化の波を利用し、商品・サービスの海外輸出や海外拠点の設置というチャレンンジングな施策をはじめる企業が、今後どんどん出てくるのではないかと予想しています。
そしてそれは従来型のビジネスで成長しきった大企業ではなく、身動きが軽い地方の中小企業にこそ起こりうる動きなのではないでしょうか。
そこで「茨城×中国」をテーマに、活躍する人や企業を紹介する情報誌『LI』を創刊いたしました。
茨城県に住む日本人と日常を共有し、活躍する中国人。対中ビジネスで新しい成果をあげている茨城県の企業。
国際報道やネットニュースではあまり取り上げられないが、茨城県のどこかではじまっているチャレンジとビジネスの物語─。
『LI』はそういう一つ一つを紹介できる情報誌でありたいと思っています。
そしてその一つ一つが読者の新しいアイデアの種となり、これからのビジネスにおけるひらめきの一助となれたら幸いです。
またこれは大きな夢かもしれませんが、
『LI』というメディアが日本と中国の関係をより良いものにし、
茨城県という「地方」を活性化させることができたなら。
そして茨城県を日本で一番国際的な「地方」にすることができたなら、
これにまさる喜びはありません。
故郷の中国遼寧省(Liaoning)のLと第二の故郷茨城県(Ibaraki)のI。
二つの故郷に敬意を込めて。