秋の重要行事「中秋節」
日本でも「十五夜」というお月見の行事がありますが、中国では旧暦8月15日は「中秋節」と呼ばれ、唐代より月餅を食べる慣習がありました。
中秋の名月を愛でる詩はたくさんありますが、宋代随一の詩人 蘇軾(そしょく)の『水調歌頭』が最も有名です。
『水調歌頭』
明月幾時有 この明るい月は、いつからあるのだろう
把酒問青天 酒を取り、ふけゆく青き夜空に聞いてみる
不知天上官闕 人知の及ぶところではなし。天上の宮殿では、
今夕是何年 今はどれくらいなのだろうか
我欲乗風帰去 酔いにまかせ風に乗り、青き天空駆け巡り確かめたいが、
又恐瓊楼玉宇 私は今宵のことすら分からない
高処不勝寒 高殿はとても寒く、かなわない
起舞弄清影 立ち上がって舞い、影と戯れていると
何似在人間 この世のものとは思えない気分だ轉朱閣 楼閣を巡り、
低綺戸 模様のある戸を低くくぐり、
照無眠 眠れぬ私を照らし出す
不應有恨 月よ、おまえには恨みがないけど
何事長向別時圓 なぜ、いつも離れ離れになっているときに限って丸いのか人有悲歓離合 人には出会いと別れがあり
月有陰晴圓缺 月には満ち欠けがある。
此事古難全 満ちれば欠ける定めなら、古から全きことは難しいこと。
但願人長久 ただ祈るのみ。あの人がいつまでも元気にいて、
千里共嬋娟 千里を隔てていても、ともに艶やかな月をめでることができることを。
この詩が詠まれてから千年の月日が流れていますが、テレサ・テン(鄧麗君)やフェイ・ウォン(王菲)が『但願人長久』という曲名でカバーしており、人々に歌い継がれています。
なお、中国では旧暦8月15日は祝日になり、今も重要な催事として継続しています。