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China Report No.09「『ガンラン ガオショウ』って何?奥深いマンガの中国語タイトル」

知らないと何の作品か、さっぱりわからない

中国の若者もマンガが大好き。マンガをネタに会話すれば大いに盛り上がるだろう。日本の著名なマンガ作品はたいてい中国でも知られている。ただ、独自の中国語タイトルが付けられているので注意が必要だ。例えば、「僕が好きなマンガは、『ガンラン ガオショウ』です!」と言われても、そんな作品あったっけ?と思うはず。ちなみにこれは『灌篮高手』と書き、「ダンクの名手」という意味。つまり『スラムダンク』のことだ。

アルファベットやカタカナ、ハングルのような表音文字であれば、海外のタイトルをそのまま音訳できるが、中国語は表意文字である漢字のみで構成されており音訳には不向きだ。そのため、独自の中国語タイトルに変換することがほとんどである。これを知らないと、何の作品について言っているのかさっぱりわからない。逆に知っておけば、会話の幅がグンと広がるのでオススメだ。では有名作品を列挙して、中国語タイトルの命名パターンを見てみよう。

①漢字タイトルをそのまま使用

『呪術廻戦』は《咒术回战》(ジョウシュー フイジャン/Zhòushù huízhàn)、『鬼滅の刃』は《鬼灭之刃》(グイミェ ジー レン/Guǐmiè zhī rèn)、『聖闘士星矢』は《圣斗士星矢》(ションドウシー シンシー/Shèngdòushì Xīngshǐ)のように漢字が使われている場合、そのまま使用して中国語タイトルにするパターン。ちなみに、同じ漢字でも中国大陸では簡体字。香港・台湾では繁体字で表記される。なお、《》は書名符号といって、書籍や映画のタイトルを表記するときに使う。

②作品の内容をうまく要約

『NARUTO』は《火影忍者》(フォイン レンジュ/Huǒyǐng rěnzhě)、『ONE PIECE』は《海贼王》(ハイゼイ ワン/Hǎizéiwáng)または《航海王》(ハンハイ ワン/Hánghǎi wáng)、『ドラゴンボール』は《龙珠》(ロンジュー/Lóngzhū)、『キャプテン翼』は《队长小翼》(ドイチャン シャオイー/Duìzhǎng xiǎoYì)と表記。作品の内容をうまく要約してタイトル付けしており、中国語として収まりのいい漢字3字か4字にすることが多い。中国大陸、香港、台湾でタイトルが微妙に異なる場合もある。以上の①と②のパターンで大部分を占める。

③原音に近い漢字を当てる

数は少ないが、原音に近い漢字を当てる音訳パターンもある。『ドラえもん』は《哆啦A梦》(ドォラーエーモン/Duōla A mèng)と表記。かつては《机器猫》(ジーチーマオ/Jīqìmāo、ロボットの猫の意味)や《小叮当》(シャオディンダン/Xiǎo dīngdāng、叮当は銅鑼(ドラ)の鳴る音の擬音語)と表記されていたが、出版社の意向から1997年以降の正規出版物は《哆啦A梦》に統一されている。

その他、『鉄腕アトム』は《铁臂阿童木》(ティエビィ アートンムー/Tiěbì Ātóngmù)、『名探偵コナン』は《名偵探柯南》(ミンジェンタン クーナン/Míngzhēntàn Kēnán)と表記。それぞれアトム、コナンに近い音の漢字「阿童木」「柯南」を当てている。

以前、海外企業・ブランドの中国語社名を紹介したときも、意味と音を重視する絶妙な訳があった。

今回のマンガも同様で、お見事な名訳もあり興味深い。マンガは中国語学習や交流の糧にもなるので、どんどん活用してほしい。

ネットショッピングで販売されている日本マンガの中国語版

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