LEIDEASでは留学生に茨城県の魅力を知ってもらうため、各地の施設や観光地を巡るツアーを定期的に開催し、ときには他団体と協力して実施しています。5月5日には茨城大学と筑波大学の中国人、カンボジア人留学生を連れて、笠間観光に茨城ロボッツの試合観戦も加えた「スポーツインバウンドツアー」を行いました。ちなみに、笠間観光は以下の記事の通り、昨年も実施しています。今回も笠間ふるさと案内人の小坂浩さんが中国語を交えてガイドしてくれました。
日本文化の粋が詰まった「春風萬里荘」
つくば市で筑波大学の留学生を乗せたバスが、茨城大学までやってきました。ゴールデンウイーク渋滞の中、少し遅れての到着です。今回チャーターしたバスは茨城交通。ここで茨大留学生を乗せて出発です!
最初に向かったのは笠間市にある北大路魯山人(きたおおじ ろさんじん)ゆかりの日本庭園
「春風萬里荘」です。現代日本ではほとんど消滅してしまった茅葺き民家。日本の伝統文化を感じてもらうには最適です。
北大路魯山人は書道、絵画、陶芸、篆刻などあらゆる芸術に秀で、さらには料理や美食の探求まで行った芸術家の巨人。ただ、日本人でも魯山人を知らない人は多いでしょう。むしろ彼をモデルにした、マンガ『美味しんぼ』の海原雄山(かいばら ゆうざん)の方がお馴染みかもしれません。気難しい性格、忖度なく発言する強烈な個性、傲岸不遜……。そんな雄山のキャラクターは、魯山人の性格そのものだったようです。
さて、北大路魯山人は茨城県笠間市にゆかりがあった人物だったのでしょうか? 実を言うと関係ありません。この春風萬里荘も、元々は北鎌倉にあった魯山人の自宅でした。自宅といっても広さ約300平方メートル!かつての富裕層の資産スケールは想像以上です。魯山人が76歳で死去した1959年の6年後(1965年)、笠間を「芸術の村」として振興していく目的で、笠間日動美術館によって移築されたことが経緯です。
とはいえ、以上のようなストーリーは外国人の留学生や観光客にはあまり関心がないかもしれません。むしろここは日本家屋の伝統美、広大な庭園や枯山水の美しさ、咲き誇る桜、梅、つつじ、もみじなどを楽しむのが醍醐味でしょう。
2022年には、あの国際的俳優ジャン・レノもここを訪れているほどで、今後外国人観光客にバズる可能性は大いにあります。
参拝客でにぎわう笠間稲荷神社
次の目的地は昨年に続いて笠間稲荷神社です。バスはほんまやの駐車場に停まり、ここで下車。同社はLIスポンサーとしてもご協力いただいています。
ゴールデンウイークのため屋台が立ち並び、多くの参拝客でにぎわう門前通り。留学生たちは美味しそうな食べ物や土産物に興味津々でした。
ガイドの小坂さんが笠間稲荷神社について説明。ここが茨城県どころか日本を代表する稲荷神社であることを知って、留学生たちは驚いていた様子。最後は拝殿の前で記念撮影しました。
お菓子のきくちモニター調査 & JA茨城からお米の贈呈
笠間観光を終えた一行は、茨城ロボッツの試合観戦のためアダストリア みとアリーナへ向かいます。スポーツが地域振興に与える影響を知るのに茨城ロボッツは最適な存在。ぜひ留学生たちに試合の迫力や、地域住民との交流状況などを知ってほしいと思い、企画に盛り込みました。
車内ではお菓子のきくちから提供いただいた商品セットとアンケート用紙を配布。「干しいもパイ ほっしぃ〜も」などで有名な同社では、これから海外展開にも力を入れていく考え。そこで留学生たちから率直な意見・感想を聞きたいとのことでした。彼らの感想やアイデアが元で、海外でもヒットすることを願っています。
続いて、アリーナに到着した留学生たちにまたもや素敵なプレゼントが待っていました。
JAグループ茨城から県産米「一番星」が贈呈されたのです。地元茨城産の野菜や肉類などの魅力を知ってもらい、発信してほしいという思いからです。留学生たちもみんな嬉しそうでした。
茨城ロボッツ シーズン最終戦を観戦
贈呈式の後はいよいよアリーナに着席です。試合が始まるまでは練習風景を見たり、RDT(ロボッツダンスチーム)のダンスを見たりして楽しみました。
ちなみにこの日から1週間ほど前、アダストリア みとアリーナでは大相撲水戸場所が開催され、同様に留学生を連れて観戦。スポーツを活用した日本文化体験はやはり好評です。
さぁ試合が始まりました。実はこの日がシーズン最終戦。この日まで茨城ロボッツは12勝、47敗と散々な戦績。エースのケガなどが重なり、とても残念なシーズンでした。それでも下位3位になんとか踏ん張り、B1残留が決定したこともあり、アリーナの応援はヒートアップしていました。最終戦はなんとか1勝をもぎ取り、次シーズンにいい流れを作りたいところです。
しかし、相手は東地区優勝、勝率1位の宇都宮ブレックス。やはり強敵でした。序盤は食らいついたものの、広がる差を埋めることができませんでした。それでも会場からは温かい拍手が。この日の来場者数はなんと5,055人。茨城ロボッツがいかに市民から愛されているかがわかります。次シーズンの飛躍に期待したいですね。
さて、今回の「スポーツインバウンドツアー」、留学生はどう感じたのでしょうか? 茨城大学理工学部修士2年の曲子昇さんは、「水戸に住んで長いのですが、スポーツ観戦は初めてです。こういう機会がなければ試合観戦のことも知らなかったので、とても貴重な体験でした。バスケは大好きなので、これから茨城ロボッツにも注目したいと思います」と語っていました。
たしかに、身近にあっても行かない場所やイベントというのはありますよね。今後も茨城の魅力を知ってもらうキッカケづくりを続けていきたいと思います。