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【CC Program】航海士「ナミ」から学ぶ人生観

【CC Program】航海士「ナミ」から学ぶ人生観

日本を代表する「クリエイティブ」といえば「アニメ」を思い浮かべる方も多いだろう。興行収入100億円突破、2022年8月に公開されたONE PIECE FILM RED。日本を代表するアニメ映画を上映期間中にはじめて見に行くことができた。アニメ世界に没入し、こんな風に生きられてたら「かっこいいな」「爽快だな」と現実を忘れてワクワクする楽しさをみなさんも知っているはず。その「みなさん」の一人として、「麦わらの一味」の生き方に感じた爽快感を、現実の働きかたや社会通念と比較して考え、まとまらない話をしてみる。

まずはルフィから話を進めるのが定石であるが、今回は「ナミ」に焦点を当てたい。ナミは麦わらの一味の航海士であり、「世界地図を描くこと」を夢として仲間に加わったのはご存じの通りだが、実はこの船の資金を管理する経営者とも見てとれる。ナミの資金管理能力や交渉力が高いため、一味は食べることや夢を追求する資金には困らない。そして、各メンバーは安心して「夢」を追求できる。

現代の経営者を俯瞰すると、働かなくてもお金が入ると偉ぶったり、夢がなくお金(=利益)の最大化のみが目標のナミが多い印象を受ける。夢がないナミは一味みんなが必要とする「サウザンドサニー号」をつくるための資金出資を渋り、ルフィやゾロの強さを売り物にし、サンジの料理を商品にして利益を最大化しているだろう(笑)。ただ、その爽快感のない状況は各メンバーにも明確な夢がない状況か、他人の夢を尊重し合わない場合にのみ起こりうるはず。仮に、サンジに夢がなく、ナミに資本的な権力があるとすると、ナミがサンジの料理スキルを買い、サンジはあるレストランの店長として生計を立てる人生になる、、、(笑)。

この麦わらの一味に爽快感を覚えるのは、各メンバーが明確に言語化した「夢」を持ち、その個々の夢が他のメンバーの夢や目標を相互に補完し合う関係だからである。ナミはルフィと一緒でなきゃ世界地図を書けないし、ルフィはナミのもつ航海スキルを持っていない。

「夢」と「スキル」。個性的なキャラクターとしてこの2つが明確だからこそ魅力を感じる。ウソップのように、はじめは漠然で「夢」を公言する自信がなくとも(12巻100話)、他人に合わせようと偽ることなく、ひとまず言い切り、徐々になりたい姿を固めていくプロセスは、現代の働きかたや人生のモヤモヤを解決するヒントになるのではないかと感じた。そんな夢と夢が支え合うキャラクターのコミュニケーションが魅力的なONE PIECEはクリエイティブの塊であり、そのような交流が生まれる場にCC Programがなればと強く思う。

Author

◆早稲田 隆司(わせだ たかし)=文
CC Program プログラムマネージャー兼クリエイティブ戦略デザイン事務所ATSUTAON代表。スポーツと文化人類学を軸にした大学研究員時代、某ホテルリゾート業でサービス・施設マネジメントや地域連携職を経て独立。現在は、グラフィックデザインを施す楽しさと、それを通じたブランディング支援で、周りの個性を惹きだすことを生きがいとしている。

【CC Program 公式ホームページ】https://23rdstudio.com/

 

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