日本の食卓に欠かせないしらすや小女子(こうなご)。その一次加工ではトップクラスの実力を持つ株式会社ヤマイチ。ひたちなかの海を起点にしながら、グローバルに事業を展開中。実はヤマイチの「元社員」だったLI広報Nanaが、古巣のインタビューに挑戦しました。
さまざまな経歴、国の社員が社内に多様性を育む
─ わぁ、本社の雰囲気がとても懐かしいです。実は私、茨城大学を卒業して最初に就職したのがこちらでした。営業として、東京のデパ地下で催事への出展などを担当していました。あれから月日が経ちましたが、古巣の御社に登場してもらいたいと前から思っていました。今回はよろしくお願いします。
やぁ顧さん、どうもお帰りなさい(笑)。以前と比べて社内体制も変わっていますが、創業以来変わらないこともありますよ。それは地元で水揚げされる小魚を加工して、安定的に食卓に届けるということ。
─ 日本の食卓でお馴染みの小魚。御社はその加工品生産ではトップクラスでしたね!
はい、そうです。しらす・小女子(こうなご)を中心に年間2,500トンを出荷しており、パック商品は日産5万パック以上生産できる体制を整えています。歴史も古く、創業は1916(大正5)年。私の父である現社長で3代目になります。とはいえ、ただ老舗だけでは生き残っていけない時代です。工場をハイテク化したり、社内ITを強化するなどして変化に挑戦し続けてきました。
─ 加えて、グローバルなビジョンもありますよね。私も在籍していましたが、外国人社員も多いですし。
そうですね。グローバルな視野は重視しています。例えば、しらすの加工ラインからパック製品製造までの工程管理では、米国FDA基準HACCP(ハサップ)を取得しています。この分野では実は日本初です。
また、技能実習生はベトナムから受け入れており、今後はミャンマーとインドネシアも検討しています。コロナ前のことになりますが、私はミャンマーに出向いて候補者の面接をしたこともあります。仏教国でもあるし、手応えを感じました。
─ 御社に就職した留学生は何人いらっしゃいますか?
中国人が2人で、ベトナム人が1人、そのほか韓国人。従業員であればブラジル人、フィリピン人もいます。能力や適正があればどこの国の人でも採用したいですね。当社は地元の漁師さんに還元するなどして地域貢献を目指している会社です。ただ、地域にとどまっていたらやれることが限られ、やがて衰退しまう。それを防ぐためにも、異なる国の社員同士が交流し多様性を育てることは重要と考えています。それが変化の激しい時代に対応する鍵になりますから。
生産から人材交流まで 中国企業とパートナーシップを構築
─ 中国との関わりも深いですよね。どのような事業を行っていますか?
15年前ぐらいから中国の水産加工会社とパートナー契約を結び、小魚を毎月コンテナで仕入れています。日本で不漁のときでも中国からの仕入れによって安定的に生産できるのが強みで、今では売上の約10%を占めるほどです。ちなみに、ウチで働いていた技能実習生のうち3名は、中国に帰国してからもその会社で働いていますよ。
─ おぉ、それは素晴らしいシステム。日本で身に付けた技術を帰国してからも生かせるなんて! これは御社ならではの特徴ですね。あと川﨑さんの奥さんは、そのパートナー会社の中国人とお聞きしました。
えぇ、そうですよ(照)。パートナー会社とは長い取り引きだったので、向こうからウチに勉強に来る社員も出てきました。妻と最初に会ったのはそのときです。ただ、仲良くなったのはもっと後のことで、私が中国に仕事で行ったときに通訳などをしてくれてとても助かりました。
─ それは心強かったでしょうね。家庭も会社もスケールの大きさを感じます。御社の今後の発展、「元社員」の私も期待しております。今回はありがとうございました。
株式会社ヤマイチ
ひたちなか市南神敷台10番地10
https://k-yamaichi.jp/