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【喫茶特集インタビュー】嘉木を求め、 嘉人に至る。
有限会社アトムセブン 代表取締役 松永公明

中国の唐代に書かれた世界最初の茶書「茶経」は次の書き出しではじまります。
「茶者南方之嘉木也(ちゃはなんぽうのかぼくなり)」。
お茶は「南の方の良い木」という意味です。
中国茶専門店・十倶茶游の店主は嘉木=良い茶の木を求め、南はもとより中国各地を巡り、その強力な行動力と好奇心で自身をまさに“嘉人”へと高めました。ここでその人生と中国茶の関わりの一端をご紹介します。

「煎じるという行為がもう治療なんです」

そう語る松永社長が中国茶と出会い、現在に至る道のりは過酷です。
「交通事故でかなりの重傷。もう後遺症が酷くて治らなくて。その頃、友人の医師が中国へ行くというので、私も天津の医学校に留学生として行きました。そこで知ったのが、漢方を煮出し、そこにお茶を混ぜるという方法。私の体もある程度良くなって帰国した時には、“これは日本で漢方薬をやったほうがいい”と思って漢方薬のお店を開きました」

しかし約20年続けた漢方薬のお店は東日本大震災で被災。
全部駄目になってしまった後、新しくはじめたお店は中国茶のお店でした。

現地で自身が確かめて仕入れる中国茶

「お金はあんまり儲からないね(笑)」と屈託のない松永社長にとって、中国茶は単なる商売の道具ではありません。

「私個人の考え方ですよ、お茶でも何でもすべての投資は、自分の健康のために、ということです。人よりも多くの知識を得る。いろんなジャンルから自分の健康のために投資するということですね」

湧き上がる興味やこだわりは行動力の源です。中国茶の仕入れの際は必ず現地を訪れるといいます。自身が飲んで確認してから買う。中国茶の産地として有名な雲南省での経験は、まさに冒険のようです。

「百年、千年っていう樹齢のお茶の木が、山のすごい所に生えているんだよね。私もあんなに太いお茶の木を見たことなかった。その集落の族長の息子が連れて行ってくれたの。それに私、バイクの後ろに乗って行ったんです。怖かったですよバイク、崖っぷち走るんだから!」

中国での多岐にわたる見聞をもとに仕入れた様々な中国茶を求めて、お店には日本人のみならず中国人のお客さんもやってきます。

「変な話、日本人のほうが中国茶の種類にこだわって飲んでいますね。現地の人たちはそんなに種類にこだわらず飲んでいる。お店に来て“中国茶ってすごいですね!”と驚く中国の方がいるくらい(笑)」

やりたいことをやる。困難を乗り越える哲学。

本来お店は一階での中国茶販売と並行して、二階でカフェや中国茶教室を運営していましたが、長引くコロナ禍の影響で営業時間や規模を縮小せざるを得ない状況です。それでも松永社長は挫けません。

「生き方やビジネスの方法も変わってきますよ。私ももっと本気になればいいんだろうけどね、趣味が多彩で(笑)。要は“やりたいことをやる”ということ。仕事はどうやって楽しくするのかが重要。そうなれば努力・頑張りをそうと思わずに続けられる。苦痛がないのだから、これならうまくいくしかない(笑)。だからやりたいことをやるんです」

やりたいことをやるために、嘉木は嘉人を支えてくれることでしょう。

 

SHOP DATA
〒310-0851 水戸市千波町1436-6

営業時間/11:30~17:30
定休日/木曜日
電話番号/0120-56-2580
http://jukucha-you.com/
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