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「シェアファクトリー」で若い人材の夢と希望を育てる!!

株式会社MURATA 代表取締役 村田 豊
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聞き手 LI発行人 黄 磊

「建築板金業」の専門業者で、雨漏り修理で実績のある株式会社MURATA。
そこでは、画期的な取り組みである「シェアファクトリー」を展開しています。
独立経営者が安心して働ける仕組みを作り上げた村田社長に、その想いを伺いました。

│写真│編集部  │構成│滝口 亮

茨城県唯一!! 雨漏り修理のプロ集団

─ 築40年以上の古いビルをリノベーションして、23rd Studioがオープンしました。傷みが激しいビルで、中でも雨漏りが厄介でした。それを修繕してくれたのが、「雨漏りDr.茨城」として実績豊富な株式会社MURATAさん。
しかも、担当してくれた若い職人さんは気さくで、腕も良くて本当に助かりました。

お役に立てて良かった。社員のみんなには、「お客様の立場になって考えるように」と伝えています。
適正なお仕事、気持ちのいい挨拶。自分がされて嬉しいことは、率先してやろうよと。
そうすると、逆にお客さんの不安要素もわかってきて、何とかして解決してあげたいという気持ちが育つんですよね。

シェアファクトリー入居企業の倉庫。


─ 御社のホームページにも、「すごく良い工事をしてもらいました」といったお客様の声がたくさん掲載されています。雨漏り専門というのは珍しいですが、御社の業務内容についてお聞かせください。

お客様からの感謝の声はやっぱり嬉しいですし、職人たちの自信になります。当社は建設業界の中でも、「建築板金業」という専門工事業者です。金属製の屋根や外壁を貼ったり、ある程度金属を使う建物であれば、だいたい私たちが工事を行います。一般住宅、集合住宅、工場、病院、さらにはお寺なども手掛けているんですよ。
その中で屋根工事や外壁工事を続けてきた結果、雨漏りの原因とその対処法に詳しくなっていきました。これなら差別化を図れると思い、8年ぐらい前から千波町に営業所を開いて、雨漏りに特化した工事を始めたというわけです。
今でも茨城県内で雨漏り修理を専門でやっている業者は当社だけ。
しかも、経験豊富なプロ集団となると皆無に等しいでしょう。実は雨漏りって、工務店や建設業者に頼んでも直らないことが多いんですよ。彼らは屋根を作るプロではあっても、雨漏りに関しては詳しくないからです。

─ 実際に直してもらったので、その実力は良く理解できます。まさに御社の差別化戦略は狙い通りですね。

独立経営者の強い味方 シェアファクトリー

─ もうひとつ。どうしても社長に聞きたかったことが、「シェアファクトリー」です。私たち23rd Studioでも参考にしたく、詳しくお聞かせください。

文字通り工場をシェアして、独立を支援する仕組みです。独立したばかりの頃は、お金がないので道具も車も買えない。だから、負担にならない金額を払ってもらうことで、オフィスや工場や倉庫、工具や機械や車などをシェアして使える仕組みを約3年前に作ったのです。
私自身が独立したとき、そもそも計画的に独立したわけではなく、勤め先が倒産してしまい、途方にくれていた職人さんたちのこともあって、成り行きで板金屋を立ち上げたんです。人生の中で、本当に大変な時期でした。
お金がなくて道具も車も買えない。それを見かねて好意で貸してくれる同業者はいたんだけど、肩身が狭いんですよ。あのときの辛い経験が、このシェアファクトリーに活かされています。わずかな金額でも負担していれば、気持ちよくシェアできますから。

シェアファクトリーのオフィス部分。各ブースは、独立した株式会社の経営者が使用している。


─ 本当にすごいです。こういうアイデアを描いている人はいると思いますが、実現させているところはほとんどありません。実は23rd Studioでも3階部分をクリエイターたちのシェアオフィスにする予定です。御社を参考にして、動画撮影機材のシェアするのも面白そうです。ただ、どうすればクリエイターたちと一緒に利益を上げられるのか、そこに悩んでいます。シェアファクトリーのメリットはどんなものでしょうか。

共存共栄できるか、ということですよね。それは、まさにシェアファクトリーならではの強みがありますよ。これまで8社がここを借りていて、「パートナー企業」と呼んでいます。うちから独立した会社もあれば、知り合いの紹介で入居した会社もあります。
独立したばかりの会社が仕事を取ってくるのは容易ではありませんが、そのときはうちの仕事を斡旋したりします。
逆に事業が軌道に乗ってくると、仕事量が増えてマンパワーが足りなくなるときがある。そのときはシェアファクトリーにいる別の会社と業務もシェアできます。こういうサイクルがあれば、安心して独立できるでしょう。
加えて、情報共有できるのも大きいです。私は全国各地に仕事で行く機会が多いですから、そこで得た情報を若い経営者たちにシェアしています。今、何かと話題のインボイス制度も、もう数年前からみんなに伝えて、準備をさせています。

高価な建設機械をシェアできるのも、独立経営者には心強い。


─ 理想的なサイクルですね。ただ変な話、社内で部下に任せていた仕事を、独立したパートナー企業に発注すると、御社の利益が減るわけじゃないですか。その当たりの葛藤はなかったのでしょうか。

当然、当社の利益率は下がります。ただ、「お金を取るか、人材を取るか」を考えたときに人材を取りました。
これは私たちの業界だけでなく、日本全国のあらゆる業界で人材不足が問題になっていますが、実際のところ仕事はあるんです。担い手となる人材を育てさえすれば仕事が回る。そのためには、多少利益が少なくても人材育成の循環を作ることが必要だと考えたわけです。
このシェアファクトリーで若い人材に夢と希望を持ってもらいたい。そして、「この業界に入ろう」「将来独立したい!」と思ってもらいたい。社員で続けるのもありだし、意欲があれば独立もできるよと見せてあげれば、人生の選択肢も増えるじゃないですか。
やっぱり人が集まれば業界も良くなる。そう信じて仕事を続けています。

株式会社MURATA

【本社/本社工場】茨城県水戸市酒門町4242
【水戸営業所】茨城県水戸市千波町2498-1
https://murata-group.jp/

 

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