注目記事
【元留学生・現LEIDEAS代表黄磊のコラム】留学生の“起業支援”「留学生ドリプラ会議」
活気あふれるPEACHの様子。
コラム名の「風月同天」とは…
唐から日本に渡った鑑真和上の言葉で、「離れていても繋がっている」の意味。コロナ禍初期に中国SNSで大きな話題になり、「中国と日本ともに頑張ろう!」というメッセージになった。
前回、留学生就職支援の取り組み『留学生ドラフト会議』をご紹介しましたが、今回は留学生の“起業支援”である『留学生ドリプラ会議』をお伝えします。
【今月のテーマ】留学生の“起業支援”「留学生ドリプラ会議」

留学生による起業の難しさ

留学生による起業は、日本人学生による場合と比べてはるかに困難です。
中でも創業の絶対条件となる「経営管理ビザ」の取得には、許可基準のクリア、出資金の準備、事業所の確保など厳しい条件があり、経験者や専門家の助言なしには先に進めません。
出資金は最低でも500万円が必要で、学生にはとても用意できる(貯められる)額ではないので、多くが両親・親族や知人から借り入れることになります。ところが、資金の出どころは明確にしなければならず、さらに事業計画が現実性に欠けるものであったりすると、申請内容に疑義があるとして不許可になる場合もあります。

グローバル感にあふれる記念写真。

どこでどのように起業すべきか。
その判断材料となる様々な情報を集めることも、外国人留学生にとって容易なことではありません。起業後の顧客、取引先、協力者確保のためにネットワークづくりも必要です。
手続きに関するノウハウや資金調達のサポートに加え、起業に有用な情報や各方面の支援者など、起業を目指す留学生が必要としていることはとても多く、当時の自分自身がその厳しさを痛感していました。

活気あふれるPEACHの様子。

「留学生起業支援カフェPEACH」を開設!

こんなにハードルが高いと、留学生の起業が育つはずがありません。これでは新たな産業は興りませんし、いずれは留学生も日本を離れてしまうでしょう。つまりWin-Winの逆で、誰も得しないLose-Loseの状態になってしまいます。

そうした考えや、自分が経験した苦労を踏まえ、留学生起業を支援する仕組みを作りたい。その想いが結実したのが、2017年につくば市で開設した「留学生起業支援カフェPEACH」でした。
当時はまだ類のない仕組みだったこともあり、大きな注目を集め、NHKでも東関東地区の特集番組で紹介されました。

発表会にて留学生によるプレゼン。

仕組みを簡単に説明すると、カフェを利用する外国人留学生を中心に、起業を目指す留学生から自身の計画を募り、その留学生起業プラン発表会を開くというものです。
私たちは、この発表会および企画全体を『留学生ドリプラ会議』と名付けました。有望なプランには、発表会に参加した企業や投資家から起業資金の援助などの支援が行われていました。

さて、本プロジェクトは留学生起業の在り方に一石を投じましたが、2019年経営判断によりやむなく閉鎖しました。PEACHに限りませんが、事業を継続させるのはとても大変です。
ただ、留学生起業によって地元茨城、留学生ともにWin-Winにしたいという想いは変わっておらず、現在も支援活動を続けています。当時得た気付きを加えることで、今後もさらに発展させていくつもりです。

留学生からの起業相談に対応。

おすすめの記事