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ロングステイが茨城の強み! インバウンドで商機をつかめ!!
茨城県を代表する観光スポット、ひたち海浜公園のコキア。

浅草、秋葉原、銀座、新宿、渋谷など、東京を歩けば大勢の外国人観光客を目にするようになりました。コロナ禍で長く続いた暗闇に、ようやく明かりが射してきた感じです。次に期待したいのは、このインバウンドの波が地方にも波及していくこと。ぜひ茨城でも、ここでビジネスチャンスをつかみたいものです。

│写真│編集部  │構成│滝口 亮

まずは日本人スタッフの確保を優先!

では、どうすれば商機を確実につかむことができるでしょうか。最も大切なのは人材の確保。インバウンドなので日本語が堪能な外国人スタッフが望ましいですが、その前にまずは日本人スタッフを確保すべきです。

というのも、長く続いたコロナ禍で、サービス業に勤めていた人材の多くは転職してしまっています。まさに今、ホテルや観光地ではこの問題に直面しており、「全国旅行支援」によって激増している国内観光客と、インバウンド解禁によって訪日した外国人観光客に対応しきれていない状態です。得意な「おもてなし」を発揮できず、クレームをもらっているところも多いようです。ホテルやレストラン、バス会社やお土産屋などのインバウンド事業者は、今のうちに最低限の体制を回復させておくことが重要です。

また、各自治体や団体によるインバウンドセミナーも活発化してきました。何から手をつけていいか悩んでいる事業者は参加してみてはいかがでしょうか。講師からのアドバイスだけでなく、同じ参加者同士で情報交換できるのも大きいです。

今年、茨城県が開催したインバウンドセミナーの様子。

 

そして、やはり英語や中国語に堪能な外国人スタッフの採用を強化したいところ。メニューやサービス内容の翻訳、サイトやSNSを活用した海外向けプロモーション、外国人観光客への接客など、インバウンドビジネスにおいて、彼らが能力を発揮できる場は無限にあります。インバウンドビジネスに興味がある就職活動中の留学生も多いので、事業者は採用を検討してみてください。

全体的には低調だがロングステイに勝機!

さて、そもそも茨城県のインバウンド実績はどれほどなのでしょうか? 観光庁の「訪日外国人消費動向調査」「宿泊旅行統計調査」を使って、コロナ禍前である2019年のデータを見てみます。

訪問率は0.9%、訪問者数は284,643人、述べ宿泊者数は205,580人泊、平均宿泊日数は10.3泊、1人1回当たり旅行消費単価は51,641円でした。全体的に都道府県ランキングでは下位に当たり、茨城を第一目標にして来る人はまだまだ少ないです。ただ、宿泊日数と旅行消費単価はそれなりに高いため、ロングステイに商機/勝機がありそうです。豊かな自然を見ながら、ゆっくりと過ごす。そうした「癒し」をテーマにした観光商品を開発すればブレイクすると思われます。

次に茨城県を訪問した外国人観光客を国別・地域別で見てみると、1位中国(33.8%)、2位台湾(14.8%)、3位韓国(10%)、4位タイ(9.2%)、5位香港(5.6%)でした。中国各地から茨城空港へのアクセスが整備されていたこともあり、納得の結果です。ただし、まだ中国は「ゼロコロナ政策」によって厳しい渡航制限を続けているため、今すぐのインバウンド復活は期待できません。

逆に期待が大きいのが、台湾です。茨城県では今夏から、台湾にて過去最大規模のプロモーションを実施中。台湾生まれ、茨城育ちの国際的人気タレント渡辺直美さんを宣伝大使に起用し、大々的な露出を展開しています。加えて、本誌でも特集した著名YouTuberのRyuuuTVも、茨城の魅力を発信し続けています。彼の影響で、香港・東南アジアを含めた華人たちの訪問も期待が大きいです。

自ら茨城ツアーを企画し、中華圏に発信し続けているRyuuuTV。

 

外国人観光客に人気の茨城スポットは?

外国人観光客からもバカ受けの牛久大仏。

 

外国人観光客に人気のスポットは、やはり国営ひたち海浜公園のネモフィラとコキア。また、牛久大仏も大人気です。これらはSNS映えするため拡散力が高く、全世界から観光客を惹きつけています。加えて、牛久大仏は仏教国であるタイなどから宗教的な興味や親近感もあって注目されているようです。

また、『ガールズ&パンツァー』の聖地である大洗も海外アニメファンに人気があります。さらに今後は、ナショナルサイクルルートに認定された「つくば霞ヶ浦りんりんロード」も有名になっていくことでしょう。

キラーコンテンツになりそうな茨城のサイクルツーリズム。

 

以上見てきたように、インバウンドビジネスには大きな可能性があります。本誌LIでは普段から通訳・翻訳、留学生人材の採用支援、動画プロモーションの作成などを行っています。インバウンドに取り組みたい事業者は、お気軽にご相談ください。

 

INTERVIEW │ 株式会社JTB 水戸支店 営業課 劉詩蕾さん

旅行会社、ホテル、レストランなど県内の旅行業界、インバウンド業界では、元留学生の海外人材もたくさん活躍しています。今回は旅行業界最大手のJTBで、観光コンテンツの開発・販売をしている劉詩蕾さんにお話を聞きました。

私もアニメから日本に興味を持った一人です。中国の大学卒業後、メディア関係の仕事をしていましたが、やはり日本に行きたいという思いが強く、大学院留学をしました。就職活動は業種を絞らずに行っていましたが、なかなか内定がもらえず苦しみました。最後の最後でJTBに決まったときは、本当に嬉しかったです。水戸支店に配属されて、茨城に住むようになりました。自然が豊富でとても落ち着きます。

今年で入社6年目。水戸支店で外国人社員は私が初めてでした。ただ、インバウンドに特化した仕事をやっているわけではなく、むしろ日本人社員と同じ環境で働いています。今は他県の顧客に茨城の良さを味わってもらう「着地型コンテンツ」の開発がメイン。古民家レストラン、農業体験、地酒やそばといった要素を盛り込んで、茨城の様々な魅力を感じてもらえるように工夫をしています。

母国の中国も旅行ニーズが変化しており、個人旅行や体験型観光が人気になっていると聞きます。再び中国人観光客が来るようになって、私たちの観光コンテンツを楽しんでもらう。そんな日が来たら嬉しいです。

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