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【キャッチしてチャンスをつかもう!】いばらきインバウンド新潮流!!
LuckyFesに沸いた国営ひたち海浜公園。

アフターコロナの現在、外国人観光客がさまざまな観光地を訪れ、インバウンド市場が活況です。この動きに茨城県もしっかり対応しており、成長市場の開拓、国際クルーズ船の誘致、大手旅行サイトとの連携など、矢継ぎ早に策を打ち出しています。今号では県内インバウンドにおける新潮流を紹介するので、ぜひチェックしてビジネスチャンスをつかんでください!

茨城県のインバウンドの取組

昨年の2023年からはコロナ禍も落ち着き、訪日外国人客(以下、訪日客)数は目に見えて回復しています。年間総数は約2,506万人となり、コロナ禍前の19年の約8割まで回復。訪日客にとってメリットの多い円安も追い風となっています。

では茨城県の状況はどうでしょうか? 意外かもしれませんが、全市場における宿泊者数は183,470人泊で、19年比84.4%まで顕著に回復しているのです(下図)。次いで市場別に見ると、台湾は19年並みに回復し、韓国や英語圏(北米・豪・欧州)は以前よりも多い訪日客が来るなど絶好調です。

逆に、コロナ禍前において最大の市場だった中国は大幅にダウンしたまま。中国政府は国内需要の喚起を優先させており、自国民の海外渡航や外貨獲得には消極的です。大井川知事は5月の定例会見で、「茨城空港から出ていた春秋航空の中国便は運休したままだが、再開について協議する。同時に韓国便や台湾便、アジア各地など、他の航空会社の誘致活動も続けている」と述べました。茨城空港が世界の玄関口としてさらに発展するか、さらなる成功に期待したいところです。

以上のような動きはもちろん、実は県では様々なインバウンド対策を展開しています。これまでになかった新しい動きも多数出てきました。こうした新潮流を把握しておくと、ビジネスチャンス拡大に役立つかもしれません。県や世の中の動きに加えて、本誌LIのインバウンド新展開もご紹介していきます。

台湾やアジアに大攻勢

アクアワールド・大洗にて、渡辺直美トークショーの司会を務めたRyuuuTV。

中国市場は回復の見込みがしばらくないため、茨城県ではリピーターの多い台湾市場の開拓に重点を置いています。ここ数年、日本と台湾の双方で関連イベントやキャンペーンを多数開催してきました。例えば、2月24日にはアクアワールド・大洗に台湾人観光客を招待。しかも台湾出身で茨城県育ちの渡辺直美を招き、これまた台湾で大人気のYouTuberであるRyuuuTV(Ryu、Yuma夫妻)が司会・通訳を務めました。約300人も集まった台湾人たちは大喜びで、台湾における茨城県の口コミ増加に期待が広がりました。

グローバル・スターとして活躍する渡辺直美の知名度は説明不要ですが、実はRyuuuTVも台湾では大きな影響力を持っています。彼らの登録者は182万人(24年7月現在)で、中華圏に日本文化を紹介するチャンネルとしてはナンバーワンの実績と規模を誇っています。Ryuはマレーシア出身で茨城大学に留学し、卒業後も水戸に在住。茨城県のことをよく知るだけに彼の動画はいばらき愛と説得力に満ちており、それが人気の理由になっています。RyuuuTVは本誌LIのクリエイティブパートナーでもあり、今後茨城県の知られざる魅力を連携して配信していく予定です。

もうひとつ県の新潮流として、3月に香港の「Klook(クルック)」と連携の覚書を交わしたことが挙げられます。Klookは香港、台湾、韓国を中心に展開している大手旅行予約サイト。県が海外の大手旅行予約サイトと連携の協定を結ぶのは初めてのことで、中華圏やアジアからの観光客誘致を重視していることがうかがえます。

アジアで人気上昇中の大手旅行予約サイト「Klook」。 https://www.klook.com/ja/

国際クルーズ船が続々寄港

北米・豪・欧州を英語圏市場とひとくくりにして話をしますが、この市場はコロナ禍以前よりも伸びています。その牽引役になっているのが、「ダイヤモンド・プリンセス」といった国際クルーズ船の相次ぐ寄港です。県は19年に初めて米国の「セブンシーズマリナー」の誘致に成功し、茨城港常陸那珂港区に寄港しました。その後はコロナ禍で中断していましたが、23年に3隻寄港し、さらに今年は「セブンシーズエクスプローラー」「ダイヤモンド・プリンセス」など、過去最高となる6隻寄港が予定されています。

乗船客は寄港地観光として、偕楽園や国営ひたち海浜公園、笠間稲荷神社などを訪れます。「空の玄関口」茨城空港と並び、茨城港陸那珂港区や大洗港区が急速に「海の玄関口」として存在感を高めています。

ついに茨城にもやってきた「ダイヤモンド・プリンセス」。

新境地開拓を狙うLuckyFes

ネモフィラやコキアなどで国内外の観光客を魅了している国営ひたち海浜公園。今や茨城というより日本を代表する人気スポットのひとつになっています。さて、ここで夏に開催されているLuckyFes(LuckyFM茨城放送主催)は、インバウンド分野でも新境地を開拓するかもしれません。

同フェスは22年、同公園で20年続いた「ロック・イン・ジャパン・フェスティバル」(以下、ロッキン)の会場移転をきっかけに始まり、今年で3回目。回を重ねるごとに規模や来場者も増えており、加えてロッキンにはなかった新要素を次々に打ち出しています。例えば、ロッキンはアーティストの撮影は全面禁止でしたが、LuckyFesはアーティストが許可している場合は撮影やSNS投稿がOKです。

台湾からLuckyFesに招待されたクラウド・ルー(盧廣仲)。

また、今年から「アジア最大のテーマパーク型フェス」を掲げており、韓国、台湾、タイ、ベトナムなどからもアーティストを迎えています。当然その国の観客が来てくれることを期待しているわけですが、実際、台湾のクラウド・ルー(盧廣仲)のステージを見に行ってみたら、台湾人客たちが駆け付けており声援を送っていました。

一般的に日本の音楽イベントで招待される海外アーティストは米英といった英語圏からがほとんどで、アジアは影が薄いです。しかし、韓国のK-POPは今や国際的な地位を確立していますし、インバウンド全体で見れば台湾やタイはむしろ巨大市場といえます。彼らが足を運ぶことで、夏フェスも新たな客層を掘り起こす可能性が出てきました。また、アジアのアーティストとの交流が増えることで、これまでになかった音楽シーンの活性化も期待できます。LuckyFesの新潮流に今後も目が離せません。

ライブ配信CARが茨城の魅力を発信!

本誌LI関連のインバウンド事業についてもご紹介します。過去に何度か記事を掲載してきましたが、LIでは留学生を観光地や農園などに連れて茨城の魅力を伝えるモニターツアーを実施てしています。彼らが体験して口コミを発信すると、思わぬところから海外で火がつくのであなどれません。

また保和苑近くにゲストハウス「木蘭の郷」がオープンしました。ホテルや旅館は水戸駅前に集中しているので、保和苑や茨城大学に近いところにできたことで、新たなインバウンド需要に対応できると期待しています。詳細は今号別頁にて。

最後にご紹介するのは、「クリエイターの予備校」(村田友輝代表)が手掛ける「ライブ配信CAR」。これは撮影機材を積み込んだバン「ライブ配信CAR」が県内各地を走り、茨城県の魅力を国内外にライブ配信する事業。地元の若手クリエイターや留学生、さらには前出のRyuuuTVといった著名インフルエンサーと協力し、TikTokやYouTubeなどでライブ配信を展開していきます。移動スタジオなのでリアルタイムで情報発信できることと、ライブ配信中に視聴者とコミュニケーションを取ることで、茨城のファンを増やすことが期待されています。なお、ライブ配信CARで使う自動車は磯﨑自動車工業株式会社からの提供です。同社にもタイやベトナム出身の社員が在籍しており、茨城県の魅力を海外に発信することの重要性に賛同していただきました。

即時性とコミュニケーション性が特徴の「ライブ配信CAR」。

インバウンドは前例がないため試行錯誤が必要ですし、外国語スキルも要求されます。しかし、白紙に絵を描いていくような面白さもあり、うまく行けばブルーオーシャンの中で成功をつかむことができます。今回の特集から何かのヒントを得てもらえれば幸いです。

世界中の人々を魅了し続ける国営ひたち海浜公園のネモフィラ。

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