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『剣樹抄』 力強さと聡明さを放つ若き徳川光圀

現在、毎週金曜20時からNHK BSプレミアム「BS時代劇」で『剣樹抄〜光圀公と俺〜』が放映中。
派手なチャンバラ満載の痛快活劇で、最終回に向けてクライマックスを迎えています(全8回)。

本作が画期的なのは、若い頃の徳川光圀(演:山本耕史)を描いていることです。

若く凛々しい徳川光圀、登場!!

水戸藩第2代藩主 徳川光圀は、「天下の副将軍・水戸黄門」として知られる超メジャーな歴史上の人物です。しかし、諸国漫遊するご老公のイメージが完全に固定化されており、逆にそれ以外の姿はほとんど知られていません。

地元 水戸には徳川光圀公像があちこちにありますが、やっぱりどれもご老公です(笑)

左からM-SPO前、水戸駅、千波湖黄門像広場にある徳川光圀公像

 

文芸作品で若い頃の光圀が本格的に描かれたのは、『光圀伝』(冲方丁、2012年)が最初だと思われます。

本作を読んで、放蕩と無頼の日々を送っていた若い頃の光圀を知り、驚いた人も多いはず。賢者のようなご老公と比較するとギャップがありますが、実は史実に基づいて作られた姿です。

その冲方丁(うぶかた とう)氏が2019年に発表した小説が『剣樹抄』(けんじゅしょう)。今回のドラマの原作です。若き徳川光圀を描かせたら、この人の右に出る人はいません。今作には異能を持つ少年少女で構成される『拾人衆』なども登場し、フィクションの要素が強いですが、その分抜群のエンターテイメント作品になっています。

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若き光圀、まさに山本耕史さんがはまり役!

本作は「明暦の大火」が重要なキーワードになっています。1657(明暦3)年に発生し、江戸の大半を焼き尽くして壊滅させた大火災です。光圀が住む小石川邸も全焼し、妻の泰姫(たいひめ、演:松本穂香)もこの火災が原因で病床に伏します。

しかも本作では火災は幕府転覆を狙った錦氷ノ介(演:加藤シゲアキ)によって企てられたものという設定。光圀にとっては許すことのできない悪党です。

さて、1657(明暦3)年における光圀の年齢は30歳。これを演じている山本耕史さんは力強さと聡明さを放っており、まさにはまり役。山本さんと言えば、土方歳三(大河ドラマ『新選組!』)のイメージが鮮烈でしたが、若き徳川光圀も新たに代名詞的存在として広まりそうです。

なお、光圀は1661(寛文元)年34歳のときに水戸藩第2代藩主になり、1665(寛文5)年38歳のときに朱舜水と出会います。山本さんを思い浮かべれば、当時の情景をイメージしやすくなるのではないでしょうか。

最後になりますが、本作には石坂浩二さんも出演しています。石坂さんはテレビドラマ『水戸黄門』で4代目黄門様を演じました。つまり本作には新旧の徳川光圀が出演しているというわけです。NHK水戸放送局では特設ページを設けており、出演者のインタビューなどを掲載しています。

最終回まであとわずか。ぜひ光圀公の活躍を見届けてください!

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