【No.05】漢字に事業の想いを込める!! 超重要な中国語ブランド名
中国に進出した企業は、現地では漢字による中国語社名を名乗っている。日本企業の場合は、同じ漢字文化圏なのでシンプルだ。カタカナの社名でも由来となっている漢字があれば、それを名乗ることが多い。トヨタは「丰田」(Fēngtián/フォンティエン)、ホンダは「本田」(Běntián/ベンティエン)、NECは「日本电气」(Rìběn diànqì/リーベン ディエンチィ)という感じだ。パナソニックは旧社名「松下电器」(Sōngxià diànqì/ソンシャー ディエンチィ)がすでに高い知名度があるので、現在も使用している。
では、漢字がそもそもない外来語由来の社名や、英語圏の企業名はどう表記するのか?その場合は、発音が近い漢字を当てて表現する。マクドナルドは「麦当労」(Màidāngláo/マイダンラオ)、ケンタッキーは「肯徳基」(Kěndéjī/ケンドォジィ)と表記されている。
この当て字だが、かつては発音が近ければ使う漢字にあまりこだわりが見られなかった。実際、かなり早期に中国進出した「麦当労」(1990年進出)にも、「肯徳基」(1987年進出)にもとくに重要な意味はない。
しかし、ここ最近は大きな変化が見られる。漢字が持っている意味も重視し、経営方針や事業の想いなどを込めたシャレた中国語社名、ブランド名をつける傾向が増えている。それだけ中華圏マーケットにおけるブランド戦略を重視する企業が増えているのだろう。
短い社名に工夫を凝らしてブランド訴求
例えば、こちらの記事にも登場したサッポロビール。
以前は「札幌啤酒」(Zháhuǎng píjiǔ/ジャーファン ピージュー)という中国語社名だけだったが、最近は「三宝乐啤酒Sānbǎolè/サンバォロー ピージュー」のブランド名も使用している。サッポロの発音に近い漢字を当ててているだけでなく、「大切な宝を楽しむ」という意味も込めているのだ(※「三宝」は道教・仏教において大切な宝や思想の象徴)。
ヨドバシカメラの中国語社名も面白い。創業の地である「淀橋」(東京都新宿区)を使用していそうだが、そうではない。「友都八喜」(Yǒudōubāxǐ/ヨゥドォバーシー)と表記している。ヨドバシの発音に近い漢字を使っているだけでなく、「友達みんなが喜ぶ」という意味まで込めている。さらには中華圏におけるラッキーナンバーの「八」まで入れており、二重三重の工夫がみられる。
家電業界では他にエディオン「爱电王」(Àidiànwáng/アイディエンワン)がシャレている。発音も近いうえに「家電を愛する王者」という意味も込められており、ブランド戦略が伝わりやすい。
次に、ユニクロは「优衣库」(Yōuyīkù/ヨウイークゥ)と表記し、「優良な衣服が豊富な場所」という意味を込めている。また、イオンは「永旺」(Yǒngwàng/ヨンワン)と表記し、「永遠に旺盛」の意味がある。さらにイオンモールは「永旺梦乐城」(Mènglèchéng/ヨンワン モンルゥチョン)となり、「永遠に旺盛で、夢のように楽しい街」となる。発音も意味も考慮しているのだから、考えた人に敬意の念を覚える。ユニクロにもイオンにも「安価で大量に売る」という一面があるが、それよりも「優れた商品を、末永く売っていく」ブランドイメージを根付かせたい、そんな共通の想いを感じる。
以上のことでわかる通り、中華圏に進出を検討している企業や店舗は、中国語ブランド名を決めるときに工夫を凝らすことをオススメする。良い漢字が思い浮かばないと悩んだら、ぜひ『LI』に相談してほしい。