「はなまるうどん」が今年中に中国市場から撤退するという。
ピーク時は37店舗あったが、激しい価格競争やコロナ禍が追い打ちをかけた。
最近の中国市場における日本企業は、進出よりも撤退が目立ち寂しい限りだ。
しかしこの苦境でも、はなまるうどんの親会社である「吉野家」は見事に健闘している。
吉野家の中国進出は古く、1991年に英領香港(当時)に、1992年に北京に初出店した。2005年には北京で「消費者が最も愛するブランド」として表彰され、その後も順調に拡大に成功した。コロナ禍によって赤字店舗の大量閉店も行ったが、それでも624店舗(※2022年現在。直営・フランチャイズ含む)も出店している。
ここまで中国で長期間愛されている日系外食チェーンはほとんどない。
中国の吉野家も牛丼や味噌汁がメインだが、そのほか中国人の好みに合わせたローカライズメニューが豊富だ。日本にはないものにキノコ牛丼、照り焼きチキン丼、ルーロー飯などがあり、さらにおでん、茶碗蒸し、お好み焼き、唐揚げまである。値段は丼物一杯20~30元(約400円~610円)で、地元の飲食店より少し高い。
また、地域・季節限定のメニューもあり、数年前にはザリガニ丼が登場し、ザリガニ好きの中国人たちを大いに喜ばせた。今後も長く愛される存在であってほしいものだ。